秋吉台について


北山頂上から南方を望む

1 秋吉台の概要

 秋吉台は,山口県中央部よりもやや西寄り,美祢市,秋芳町,美東町にわたる地域である.東西約16km,南北約8km,面積約130平方kmの,ほぼ平行四辺形に近い形で石灰岩層が分布し,台地を形成している.その中央部を南北に厚東川が流れており,それを境に東の台,西の台に分けられている.東の台は狭義の秋吉台であり,西の台には於福台,岩永台が含まれる.東の台は,大部分が自然公園として国定公園に指定され,その中の一部は特別天然記念物に指定されている.日本一の広さを誇るカルスト台地である.台地の上にはドリーネ,竪穴などが分布する.





2 秋吉台のおいたち
 

 秋吉台は,今から3億5千万年から2億2千万年前(地質時代の古生代石炭紀から二畳紀)のころ,珊瑚礁であったことがわかっている.秋吉台の石灰岩の中には化石が観察される.フズリナ,サンゴ,ウミユリ,アンモナイトなどの化石である.また,珊瑚礁は海底火山が噴火し,小高い丘ができ,そこに生物が住みついて発達する.石灰岩の下位には,当時の島のもとになった火山の証拠である,枕状玄武岩が見られる.


3 秋吉台の地質構造
 

 秋吉台の地質構造は,小沢義明博士が帰水で地層の逆転を発見してして以来(小沢,1923),鳥山隆三博士(1953),太田正道博士(1977)など,いくつもの解釈がなされてきている.プレートテクトニクス説が発表されてからは,秋吉台は南方で発達した珊瑚礁が当時の大陸の縁辺に付加したとされている.プレートテクトニクスとは,地球の表面は何枚かの大陸及び海洋のプレートに覆われていて,それらは絶えず水平方向に動いている.そのため,運動するプレート同士の及ぼしあう作用によって,地震,火山などの地学現象が地球で起こるという考え方である.

 最近,佐野(1994)などは,秋吉台の逆転した地層というのは,石灰岩のブロックの崩壊によって一見そう見えているだけであると,太田らの解釈とは異なる見解を示している.

1. 海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込む.

2. 大洋底にホットスポットと言う,海底火山の噴火による高まりができる.

3. ホットスポットが珊瑚礁へと発達する.

4. 海洋プレートが大陸プレートの下にもぐり込む際に,珊瑚礁が大陸プレートに付加する.

5. 付加した石灰岩帯が,隆起し,地上に現れる.

コラム 研究者による秋吉台石灰岩の構造の解釈

 1923年

 小沢義明博士が,帰水地域の地層が下のほうが新しく,上の方が古くなっている,つまり逆転構造をしていることを発見した.これを小沢氏は,地殻変動のため正位に堆積していた地層が,褶曲して逆転し,逆転した地層のうち上半分が侵食によりけずられ,逆転部が地表に表れたと考えた.

 1953年

 鳥山隆三博士の解釈は,秋吉台の北半分は大きく逆転しており,その逆転した石灰岩が南にある石灰岩の上に乗り上げているというものである.

 1977年

  太田正道博士は,ボーリングによる地質調査をおこない,秋吉台の地層が逆転している証拠を示した.

 1994年

 佐野弘好博士は,秋吉台の石灰岩が大小さまざまなブロックからなるとし,秋吉台の地質構造は逆転しているように見えるが,実際には珊瑚礁の付加過程において崩壊
したものであるとした.


 

コラム 秋吉台の石灰岩について

 秋吉台の石灰岩の多くは,緻密で均質であり,層理面等は確認できない.多くの部分は化石を含む石灰岩であるが,長登付近,於福付近では,石英斑岩の貫入などにより熱変成をうけ,大理石化している.この地域の露岩は同様に熱変成を受けた平尾台のように方解石の結晶が荒く,丸い形態をしている.